リアル『ROOKIES』
試合は別々の中学のユニフォームで行う
私は、中学・高校・社会人野球部で投手を務め、その関係からスポーツ少年団やリトルリーグのコーチを務めさせていただいた。現在は長男が浅間中野球部に在籍(2年生)している都合上、縁あって浅間中野球部の投手について外部コーチをさせていただいている。
今回紹介させていただくのは、私が現在期間限定コーチを務める「佐久市立東中学校野球部」と「浅間中学校野球部(2年生)」合同チームの話である。
昨今の少子化や様々な要因から中学野球の人口が減っている現状がある。佐久市立東中学校はほんの数年前、長野県大会を制覇した名門であるが、現在は3年生4名と2年生(女子)1名だけで、今後の見通しはわからない厳しい状況下に置かれている。そんな中、昨年8月から東中野球部5名と浅間中野球部1年生10名の合同チームが期間限定で編成され、秋の2大会に臨んだ。そして今春、再び同じメンバーで6月に行われる3年生最後の大会まで合同チームを組ませていただくことになった。
<ここまでの道のり>
東中野球部は伝統的に気迫と魂の強さを感じる選手が多い
合同チームがいっしょに練習できるのは週末2日間。昨年夏に初対面したときは連帯感もなく、バラバラな状況で唖然としたのを覚えている。しかし、やる気に満ちた両校の部員が徐々に打ち解け(野球を心から好きな者同士仲良くなるのに時間はかからなかった。)、切磋琢磨しながら、上級生が未熟な下級生を兄貴分のように引っ張り、練習試合では近隣中学校と互角に勝負できるまで成長した。
ただ、仲良くなればなるほど、チームがまとまればまとまるほど「大会が終われば(負ければ)解散」という葛藤が全員の心のどこかに芽生えていたのも事実である。
昨年秋の大会後(試合は強豪相手に大善戦したが2-1で惜敗した)、その場で解散式が行われた。顧問の堀内先生(監督)含め、その場にいる全員が泣いた。大いに泣いた。私も人目をはばかることができず嗚咽した。もはや単なる「合同チーム」ではなく、みんなの心が一つに繋がった大きな「チーム」に昇華した。2か月間という短期間の間に、実に見事に心が融合し成長していく奇跡的な瞬間に立ち会えた。TVドラマや映画では体感できないノンフィクションの感動を味わった・・・
<ひとりの投手との出会い>
関わった全員に思い入れが強いが、東中の中でひときわ「やんちゃで負けず嫌い」な少年がいる。頑張り屋で、チームを投手として背負う責任感も強く、負ければ泣くし、がんこで、真っ直ぐで、何度も私と言い合いになる・・・。でも、私の若い頃となんとなくリンクして見えてすごくうれしく感じている。(全員紹介したいが)彼も含めて、全員のこれからの活躍に期待している。
<感謝>
東中のみんな
東中野球部顧問の堀内先生に伺ったところ、いっしょに活動できるかどうかわからないまま、部の存続もわからないまま、部員たちは5人で厳しい冬の練習を乗り越えたらしい。目標がわからない不安な思いのまま頑張った彼らに心から敬意を表したい。そして、本当に多くの関係者の方々のご尽力とご協力のおかげで、4月末から再び合同チームを組ませていただくことができた。なんとかみんなを喜ばせてあげたいと同時に、浅間中・東中野球部監督をはじめ、関係者全員に心から感謝を申し上げたい。
<コーチとしての喜び>
野球ができる喜びを目いっぱい表現し、目を輝かせながら真剣に野球に取り組む子供たちをみると、心の中の熱い部分がこみ上げてくる。だから真剣に指導し、時に松岡修造のように熱く吠える。喜ぶ時も同じである。心も体も成長途中で反抗期で思春期で・・多感な中学生の指導は容易ではないが・・・それもまた魅力!
私にとって投手に関する技術、過去の体験談、調整方法、勝負の心構え、トレーニング等を子供たちに教えていくことは、今やライフワークとなっている。また、それを伝えていくことは、今まで私を育ててくれた野球への恩返しだと思っている。
最近では、いっしょにグランドで悩み戦った子と久しぶりに会った時の逞しくなった姿や活躍を見るのも楽しみの一つになってきている。
小中学校であらゆる分野の監督コーチを経験されている方はきっと全員が感じているかもしれないが・・関わっている子供たちみんなが自分の「息子(娘)」であり、「大家族の一員(ファミリー)」である。ひとつの目標に向かって、涙あり・笑いあり・かけがえのない感動あり・・・中毒になること必至!(笑)
<最後に>
このブログが掲載される頃には合同チームは解散しているであろう・・
どのチームに入っても、子供も保護者も監督も、みんなで一喜一憂して、その度に大きな感動を味わう・・・チームが解散するときは、心にポッカリ穴が開くような寂しい気持ちになるが、またすぐに新チームを構築する仕事が始まる!!(今からわくわくしている!!)
東中のみんな!元気でな! 浅間中2年!これからも気合い入れていこうぜっ!!
佐々木 茂雄